壁面への穴あけ作業には電動ドリルを使用して素早く穴あけを行いますが、コンクリート外壁やモルタル仕上げといった材質の場合は
少々のことでは穴は空かないため、電動ドリルでは全く歯が立たないということもあります。
材質によってはなかなか穴が開かない場合は専用の工具を使用して穴あけなどの作業を行うことになります。
その際に使用するのがハンマドリルという工具です。
ハンマドリルには電動ドリルには無いハンマー機構を搭載しており、先端のブルポイントに前後方向に打撃力を加えます。
その叩く力とドリルの回転によりスムーズな穴あけ作業などが行える電動工具です。
種類としては軸の形状(差込口)により分かれています。
大型のハンマドリルは6角シャンク、SDS-maxシャンク、スプラインシャンクがありますが、ほとんどの大型ハンマドリルは6角シャンクかSDS-maxシャンクが主流となっており、スプラインシャンクはほとんど出回っていません。
小型のハンマドリルの場合はSDS-plusシャンクという形状が多くを占めています。用途に関しては硬い材質のものに穴あけを行うほか、ハツリ作業や解体作業などにも使用します。使用する上では大きな振動を伴うため周りに人がいないことを確認して使用することと、振動により粉塵がでるためその対策を行って使用することが望ましいでしょう。
各種メーカーの違い
・マキタ
電動工具メーカーのトップとして
どの業種からも人気のマキタ製ハンマドリルは、
リチウムイオン電池を使用する充電式の製品が取り扱われています。
※リチウムイオン電池とは二次電池の中でも
特にエネルギー密度が高く、高電圧かつ大容量が特徴です。
長寿命で充放電の繰り返しにも耐え、
充電速度も比較的高速化しやすくなっています。
同じ14.4Vのシリーズの中でも複数のモデルが販売されていますが、
その差はリチウムイオンのアンペア数の違いにあり、
4.0Ahから6.0Ahの製品までは販売されています。
アンペア数の少ないモデルほど充電時間も減ることが特徴的で、
最短36分間と短時間でのフル充電が可能となっていることもメリットの一つでしょう。
マキタのハンマドリルには、電池の残容量を表示させる機能に加えて、
何らかの故障が発生した場合にランプで異常を示す
自己故障診断機能が搭載されており、
異常発生時に一目で分かる工夫が施されています。
防塵・防滴機能も備わっており、
バッテリーを含み最大2.2kgの重量ながら回転数は
1,600min-1、打撃数は5,300min-1と十分なクオリティを備えています。
別売りになりますが集塵カップも販売されており、
作業効率を向上させることが可能です。
マキタの欠点としてはバリエーションの少なさであり、
専門性の高い電動工具を複数所有したいという方にとってはデメリットとなるでしょう。
・日立(HITACHI)
日立では数多くのハンマドリルを製造・販売しています。
ACブラシレスモーターを搭載したハンマドリルの製造を行ったのは日立が業界初であり、革新的な技術を用いたメンテナンスフリーのモーターを
使用できるということは大きな強みとなっています。
日立ならではの特徴となっているのはハンドルであり、
通常時にはサイドハンドルとして横に突っ張ったような形を持ちますが、
360度回転可能な設計になっているため、狭い場所ではハンドルを縦に直した上で使用することが可能です。
販売を行っている各クラスのハンマドリルで暮らす最大のハツリ量を実現させており、
振動値の軽減も達成するなど、職人がどんな現場でも使いやすいパワフルなハンマドリルの制作に重点を置いています。
ビットの装着も片手で行える構造であり、
スイッチを握ることなく連続した作業が可能となる連続運転機能も搭載され、
さらにメーカー保証は2年間という長期に渡り、アフターケアも充実しています。
一貫してバランスが良く使いやすい製品作りが行われていますが、
欠点を敢えて挙げるとするならば静音性についての問題であり、
多くの機能を搭載することが第一優先で、静音性に関しては後回しにしている印象が払拭できません。
出典:https://www.hikoki-powertools.jp/
・ヒルティ(HILTI)
ヒルティでは、充電式とコード式という両方のタイプのハンマドリルを販売しているため、
用途や好みによってタイプを選択することができます。
コンパクトなモデルを選んだとしてもパワーが強く、
石材の土台やコンクリート外壁に対しても確実に作業をこなせる実力を備えています。
充電式のハンマドリルには大容量のバッテリーが標準搭載されており、
1回の充電でほぼ丸一日の作業に対応するほどの持久力と耐久性を兼ね備えています。
また、予備用でハンマドリルを購入する場合においても、欲しいと思ったアイテムだけを購入できるので、購入する必要のない付属品は排除することができ、
経済的にも優しく、エコという観点からも高く評価できます。
また、人間工学に基づいたフリップのデザインが施されており、
HILTI製の電動工具は疲れにくいため、丸一日の作業に向いているということも業者の間では評判になっています。
ヒルティはアフターサポートの質と速さに定評があり、
最短3日という期間で修理に出したハンマドリルが
手元に戻ってくるという安心感を得られます。
欠点となっているのは商品の価格の高さでしょう。
付属品の数によっては20万円近い価格となるモデルも存在することから、
大手メーカーならではのアフター業務や、製品品質の高さに付加価値を感じられない方には不向きになってしまいます。
・マックス(MAX)
マックスには他社製品には無い独自の特徴があり
独自特許を組み込んだ低振動機構がポイントです。
複数の振動吸収スプリングを手元の負担がかからない場所に配置することによって、
長時間の使用にも耐えられるほど安定感のあるハンマドリルに仕上げられています。
また、現場の粉塵や水道水などを使用した耐久テストにおいても高い数値を残し、
長持ちする商品であるという点もマックスならではの強みです。
マックスでは合計3種類の充電式ハンマドリルを販売していますが、
現行品として取り扱われているのはマックス イージスに
適合したモデルとなるPJ-R266-B2C/40Aの1種類に限られています。
こちらにはリチウムイオン電池DC25.2Vを採用しており、
回転数は中モードを利用した場合には0-749回転/毎分、打撃数は中モードで0-3770回/毎分となっています。
鉄工、木工、コンクリートにそれぞれ対応可能で、
電池パック装着時のサイズは225×90×335mm、4.0kgとなっています。
短所としては複数の商品の中からハンマドリルを選択する余地がなく、
高性能と引き換えに価格が高額な設定であるという2点を挙げられます。
・パナソニック(Panasonic)
パナソニックでは、28.8Vという大容量のハンマドリルに加え、
18Vと14.4Vの切り替えができるマルチハンマドリルを販売しており、
いずれもリチウムイオン電池を搭載した充電式のハンマドリルです。
木工からサイディング、金工にまで対応可能であり、防塵機能を備え、
雨がかかったとしても問題なく使用できる丈夫な構造で作られています。
独自のグリップ幅を持たせて製造していることが特徴的で、
余計な力を加えずに指を引っ掛けて持ち上げられる
細型グリップが採用されているため、
作業時間が長時間に及んだとしても疲労を感じにくいことが長所です。
連続作業にも耐えられる冷却ファンを搭載し、
半透明で位置決めがしやすい集塵カップを使用するなど、
現場での作業の過酷さを和らげる機能が各所に採用されています。
さらにLEDライトも標準搭載されているため、
暗所での作業や、天候の問題で工事個所が
見づらいなどの悪条件に見舞われたとしても、
性能を落とすことなく短時間での作業を可能にしています。
欠点となっているのは重量であり、
ハイスペックモデルを選択すると総重量は3.85kgに及びます。
ただし、このクラスにおいては軽量な部類に入るため、
用途を間違えなければ極めて優秀なメーカーと言えるでしょう。
・ボッシュ(BOSCH)
ボッシュでは、職人向けのハイスペックなハンマドリルから、
DIYに向いた初心者向けのハンマドリルまで
幅広い電動工具の販売を行っています。
職人向けのフラッグシップモデルとしては、
コンクリートにおいても28mmφの穴開けに成功できる能力を持っており、
重量も2.9kgまでに抑えています。
ボッシュを長所として取り上げるべき点は
アクティブバイブレーションコントロール機能を搭載しているという点にあり、
ハンマドリルの自動計算によって作業を行う上で最もバランスの取れた重心を取ることができ、それによって反動を最大限にまで軽減させられ、
作業が長時間に及んだとしても負担を感じることが少なく、
なおかつハンマドリルの扱いに慣れていない方でも使いやすいということに
メリットを感じている職人は数多く存在しています。
安全性ももちろん性能が高く、二重絶縁構造となっていることをはじめ、
回転停止機構や安全クラッチ機構、キックバック防止機構が搭載されています。
ボッシュも性能面に優れているハンマドリルを販売していますが、
若干の気掛かりとしては幅のサイズが大きめであることで、
狭くて作業しにくい場所での水平作業に苦戦する場合があります。
ハンマドリルのメンテナンス方法について
ハンマドリルのメンテナンスに関しては、
ハンマドリル本体だけでなく使用しているドリル刃のメンテナンスも
大事なメンテナンスになります。
本体に関して必ず行うべきメンテナンス作業は注油という作業です。
これはハンマドリルの性能を維持するためにも必要となりますので、
作業を行った後には忘れないようにしなくてはいけません。
全てのハンマドリルでこの注油は必須となります。
油が切れてしまうと思いも寄らない負荷がかかるために熱が必要以上に出たり、
作業中に負荷がかかりすぎてドリルが壊れてしまうこともあります。
また、ハンマドリルはその機構上前後に動くため、
その部分をスムーズに動かすためにはオイルが必要不可欠となります。
種類別のメンテナンスとしては、
6角タイプの場合ドリル刃をとめる軸が磨り減ってくることもあるので、
常に軸に問題が無いかを確認する必要があります。
SDSタイプの場合も軸が磨り減り、刃が正常に取り付けできなくなることがあるので、
SDSシャンクの場合も軸部分のお手入れを確実に行う必要があります。
刃に関しても刃自体に欠けや割れが無いか、
取り付けする軸の磨り減りを確認して、
異常があれば使用しないようにすることで
怪我などのトラブルを未然に防ぐことが出来ます。
特に粉塵などが内部に入り込むことで軸を傷めることもあるので、
清掃をしっかりと行いましょう。
正しいハンマドリルの使い方
いわゆるドリルにはいくつかの種類があるのですが、
通常の電動ドリルでは硬い素材に対しては
パワーが足りず、全く歯が立ちません。
ハンマドリルは、ブロック塀といった
コンクリート製のものに穴をあけていく際、
最もよく使われている工具の一つです。
ハンマドリルは強力な回転と打撃の併用によって
コンクリートにも楽々穴あけ・ハツリを行うことができるので、
土木工事や建築業には今や欠かすことのできない工具となっています。
電動ドリル、振動ドリルは
全く別物になるので注意が必要です。
ハンマドリルは、同じように打撃と回転を併用した
「振動(インパクト)ドリル」とよく比較されます。
振動ドリルの場合は、電気ドリルとチャックが共通しているので
同規格のビットを使用することができますが、
ハンマドリルは電気ドリルとは全く別規格のチャックであり、
ビットはその専用のものを用意しなければなりません。
また振動ドリルの場合は
「回転のみ」「回転+打撃」の2つのモードで作業しますが
ハンマードリルの場合は「打撃のみ」で作業をすることも可能で、
よりパワフルで大きい穴をあけるのに適していると言えます。
同じ穴をあける工具としてはハンマドリル以外に、
「電動ドリル」があります。
電動ドリルは基本回転のみの力なので
木材に下地となる穴をあける場合などは便利ですが、
パワー不足なので石材などにはあまり適しません。
ハンマドリルを使うときの基本的な手順
1.目的に合わせたビット(先端部)を準備し、セットする。
ハンマドリルの作業の対象になる素材は、コンクリートから木材、
用途によっては金属など目的によってさまざまで、
さらに材質の硬さによって穴あけ可能なサイズ(半径)も決まっています。
まず事前に、これから使用するハンマドリルで
目的に合った穴をあけられるかどうか、
付属の仕様書などの記載を確認しておきましょう。
その上で作業内容に応じてビットを選択し、
電源を抜いた状態でビットを先にセットしておきます。
2.要所で安全対策をしておく。
ハンマドリルによる掘削は粉じんを飛び散らせるので、それに当たったり、
吸い込んだりする危険がありますので防備は必要です。
作業する人は防護メガネ(ゴーグル)や作業用手袋、
マスクなどを着用するようにしてください。
3.利き手で押し、その反対の手で支えて作業する。
ほとんどのハンマドリルの場合は例えば右利きの人であれば、
右手でハンドルを押し込むため、
サイドハンドルを左手で支えている姿勢になります。
まずは電源を入れ、上記のようにハンドルおよび
サイドハンドルを両手でしっかりと保持した上で作業を開始します。
穴をあけたい箇所にビットの先端を押し当て、
振動などで軸がずれることを防ぐため、
利き手で軽く押し当てるようにしながら掘り進めていきます。
4.定期的に穴の中の屑をきれいにしながら進める。
穴あけが進んでいくと、切削屑や粉塵が大量に出てきます。
作業してできた穴の内部にこれらのごみがだんだんと溜まり、
徐々に切削の邪魔となっていきます。
時間とともにハンマドリルの進みが悪くなった(重くなった)ように感じたら
一旦作業を止め、切削穴の内部を清掃して再開しましょう。
あとは作業完成までそれを繰り返すだけです。
ハンマドリルを使うときの注意点
押し込む力の入れすぎに注意が必要です。
利き手でドリル本体を押し付けていくのは、穴を早くあけるためではなく
ハンマ機能の振動で軸がずれないようにするためです。
なので、手で強く押し当て過ぎると意味もなく疲れてしまい、
結果として作業効率を下げてしまうことになります。
もともとハンマドリルは振動ドリルと違って、
機械固有の打撃力が十分強力ですので、
押し付ける力がわずかでも十分に掘り進めることができます。
作業直後に持っている熱には注意!
穴あけ作業を終えた直後、先端のビット部分は高い熱を持っています。
ここに不本意に手で触れると火傷を起こすおそれがあるほどです
なので、作業の後はしばらくハンマドリルを放置して
ビットを人の手に触れないとこで冷却するようにしましょう。
また、誤作動を防ぐためにも
作業が終えたらすぐに電源を抜くということも
怪我を防ぐために大切なことです。
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